Fool on the planet - ワーママきゃっぷの徒然

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のぶカンタービレ!全盲で生まれた息子・伸行がプロのピアニストになるまで

最近ちょくちょく図書館で本を借りて読んでいる私ですが、少し前のこれを読みました。

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全盲のピアニスト、辻井伸行さんのお母様が書かれた本で、辻井さんが大学入学するあたりまでの話で、幼少期から17歳で参加したショパンコンクールあたりまでがメインのお話になります。

ピアノと言うことで、ちーちゃんにせかされながら図書館をぐるっと回っていた時にたまたま目についた本で。辻井さんのことは、アメリカのコンクールで優勝されたときにニュースになっていて初めて知ったのだけど、子供のころから既に有名だったみたいですね。

お母様の著書ということで、辻井さんが赤ちゃんの時のエピソードから始まるんですが、もうあれですね、育て方云々より、辻井さん自身が音楽の才能を持って生まれてきたとしか思えない、というかこういういい方はよくないのかもしれないですが、視力を奪われた代わりに音楽の才能を与えられた、と言いたくなるレベル。お母様の書き方が上手なのか、そんな印象を持ちました。

生後8か月で音楽の才能があるのでは、と考えた母、1歳半からピアノを習わせます。1歳半から教えてくれる先生自体を探すのが難しいのに、さらに全盲の子を教えるということで、先生探しは相当大変だったと思います。今みたいにネットのない時代なので、タウンページ見て電話かけまくったとか。

でもお母さんの気持ち、わかる気がする。全盲と言うことで、子供の将来がすごく不安で、何かしら身を立てられそうな可能性があれば飛びつかずにはいられなかったんだろうな、と。

1歳半で教えてくれる先生が見つかり、先生のお膝の上でピアノを触ったりするところからスタートしたそうです。そして小学校に入るころには、そこらの子よりもずっと弾けるようになっていたとか。

とにかくお母さんはピアノのことだけを考えて、ピアノだけを優先したよう。全盲で生きていくのに必要なことは盲学校で教えてもらったとのことで、とても感謝されているようでした。

小学校5年くらいでピティナの金賞を取ったそうですが、その頃からお父さんが「ピアノだけできてもだめだ、お前くらいのころにはこんな本を読んでた」とか言い出したり、学校も「中学校では盲人として自立する訓練をしていきます。ピアノだけというわけにはいきませんよ」などと言われたりしたそう。それでもお母さんはピアニストの10代は大事な時期、と考えてピアノを優先できるよう中学校は別の盲学校に行ったり等、対応してきたそう。

でもお父さんの不安もわかる気がする。ピティナの金賞で、急にピアニストが現実味を帯びてきて、それはそれで不安になったんだろうな。障害とは別の部分で、芸術家って不安定な職業だし。

17歳でショパンコンクールに挑戦したとのこと。ショパンコンクールの部分は「ピアノの森」のおかげで仕組みや雰囲気が容易に想像できてよかったです。

とにかく辻井さんが才能あふれすぎていて、正直なところ子育て本としては参考にしづらいのだけど、お母さんがブレない、というのは大事なことなのかなと。あとお母さんの行動力。お母さんの行動力が辻井さんの可能性を広げていったと言っても過言ではない気がする。人脈を大事にするとか、そういうことも含めて、やっぱ親のがんばりだよな、というのを改めて思ったのでした。